CONTENTS Vol.3
摩耗性能をどう高めたのか?
“タフさ”は、一朝一夕では作れない。
R/T01は、舗装路・未舗装路の両方で求められる耐摩耗性を徹底的に追求しました。ブロックの倒れや片べりを防ぐパターン設計、全天候型の高耐久コンパウンド、接地圧の均一化といった技術的工夫に加え、台上評価やシミュレーションを活用し15〜20%のロングライフ化を実現。長く、確実に「走り続けられるタイヤ」への信頼は、確かなデータに支えられています。
Photographer:Fruolux / Hayato Tsuchiya
Writer:igrec,inc. / Sho Yamaguchi


R/T01は摩耗にも強いと聞きましたが、その開発で意識した点は?
開発者:まずターゲットとしたのは「偏摩耗の抑制」です。特にラギッドテレーンタイヤはブロックが倒れやすいため、オンロード使用での摩耗性能が課題になりやすい。そこで、台上評価やシミュレーションを活用し、さまざまな荷重状態での接地圧を検証しました。

設計上の工夫で特に摩耗に寄与した部分はどこでしょう?
開発者:5リブ構造により接地面全体で圧力を分散させたことが大きいです。さらに、ショルダー部のブロック形状に“斜めエッジ”を加えることで、立ち上がり時のストレスを逃がし、局所的な摩耗を抑えました。

コンパウンドには工夫があるのですか?
開発者:はい、特にオンロード耐久に優れたポリマー配合を採用しています。粗面路での摩耗量を抑える一方、低温時のグリップも落とさない。全天候で安定して摩耗をコントロールできるようバランスをとりました。

オフロードの摩耗についてはいかがでしょうか?
開発者:未舗装路や岩場などでは、ブロックが欠けたり剥がれたりする「チッピング」が問題になります。これに対して、ブロック角を丸めつつサイプの形状を最適化することでチッピング耐性を強化しました。

実走評価とシミュレーション、どちらを重視しましたか?
開発者:両方です。まずシミュレーションで摩耗の進行を予測し、設計変更後は岡山のテストコースでブロック欠けやチッピング有無を実証しました。岡山のテストコースは環境条件が安定しているので、比較データの信頼性が非常に高いんです。

使用者の走行環境によって違いはありますか?
開発者:ありますね。都市部と未舗装の比率が高い地域では摩耗の傾向が大きく変わります。私たちはそれぞれの使用環境で平均的に性能を発揮できる設計を目指しましたが、特にオン6割・オフ4割あたりのバランスで最適化しています。

ブロックの倒れやすさにはどう対処していますか?
開発者:剛性の調整がカギでした。倒れやすいブロックの内側に補強構造を持たせる“控え壁“のような設計を加え、接地初期からしっかりと路面を捉えるようになっています。これにより片べりも防げるんです。

最後に、R/T01の摩耗性能の強みとは?
開発者:「耐える設計」が芯にあります。路面の種類や荷重条件に左右されにくく、どこでも長くより安心して使える。これはテスト環境と設計思想、そしてブロックひとつひとつの形状にまでこだわった結果だと思います。
