CONTENTS Vol.2

性能バランスの追求

“走り”に妥協しない。見た目だけでは終わらせない。

R/T01の開発テーマは、オンロードの快適性とオフロードの走破性の両立という難題。ドライな舗装路でも、ぬかるんだ林道でも、同じ一台で走り抜けられる性能を目指しました。構造・パターン・コンパウンド、すべてをゼロから見直し、設計されたこの一本には、日常と冒険をシームレスにつなぐための工夫が詰まっています。

Photographer:Fruolux / Hayato Tsuchiya
Writer:igrec,inc. / Sho Yamaguchi

R/T01では、オン・オフの両立をどう実現したのでしょうか?

開発者:このタイヤで目指したのは、オンロードでの快適性と、オフロードでの走破性という相反する性能の共存です。構造面では剛性を持たせつつ、コンパウンドには適度な柔軟性を持たせることで、振動吸収性を高めました。結果として、舗装路では安定感と静粛性を、未舗装路ではトラクションと耐久性を実現しています。

特に舗装路での快適性は意識されましたか?

開発者:はい、ラギッド系タイヤはどうしてもロードノイズやバタつきが出やすいので、そこには特に注力しました。パターンピッチを最適なランダム配列に設定し、周波数の分散を図ることで静粛性を改善。また、5リブ構造により接地面圧を均一にし、直進安定性も確保しています。

オフロードでは、どのような走行を想定していたのでしょうか?

開発者:林道、河原、ぬかるみといった比較的ライトなフィールドから、ガレ場などややハードな場面まで幅広く対応することを目指しました。MTほどではないが、ATよりも“もう一歩奥まで”踏み込める。そんな領域を目指しました。

接地性について、構造的な工夫はありましたか?

開発者:接地性は非常に重要です。RT01では、センターからショルダーにかけてのプロファイルを最適化し、偏摩耗を抑えながらも接地面積を広く取れるように設計しています。これにより、オンロードでは安定した接地感、オフロードでは地面をしっかり掴む感覚が得られます。

耐摩耗性についてはいかがですか?

開発者:GRANDTREK全体として“ロングライフ”はひとつの価値です。R/T01でも高耐摩耗性を維持するために新配合のトレッドコンパウンドを採用しました。どんな場面でも安心感をもって長く使っていただけます。

耐久性と快適性の両立は難しそうです。

開発者:本当にそうなんです。だからこそ、構造の各要素に微調整を加えています。例えば、ベルトの角度やカーカスの配置に至るまで細かくチューニングし、しなやかさと剛性の“ちょうどいい塩梅”を探る作業が必要でした。

走りの“しなやかさ”というのはどういった感覚でしょう?

開発者:段差を乗り越えた時にタイヤが過剰に跳ねたりせず、地面をなめるように追従する感覚です。これはオン・オフの両立において非常に重要で、構造とプロファイルの緻密な設計によって実現しています。

水はけやウエット性能は?

開発者:排水性にも配慮しました。センターリブから斜めに逃がす溝設計により、ハイドロプレーニングの抑制性能を確保しています。また、コンパウンドもウエット性能に配慮したものを採用し、濡れた路面でも安心感をもって運転できるようにしています。

ラギッドテレーンと聞くと“見た目重視”と思われがちですが…

開発者:確かに見た目も大事ですが、それだけで終わらせたくなかったんです。グラントレックは“走れる”ブランド。だからこそ、見た目の裏付けとして、しっかりとした走行性能と耐久性を持たせることが最優先でした。

最後に、このタイヤで伝えたかったことは?

開発者:「遊び心があるけれど、本気で使える」。R/T01はそんなタイヤです。オフロード風のスタイルが好きな方にも、しっかり性能で応える一本。GRANDTREKの新たな選択肢として、ぜひ体感していただきたいですね。