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上質の創造、名門の真髄を受け継ぐ。

靴職人 大川由紀子

Vol.09
靴職人
大川由紀子Yukiko Okawa

ベンチ・メイド店主。「新しい靴はほとんどもっていなくて。
修業時代の10足と履く靴がないときに急いでつくった3足があるだけ。
もちろん、まだまだ履き続けます」

 足を計測し木型を作成。デザインを型紙に起こし、皮を裁断してミシンで製甲する。ビスポークの靴づくりは基本的に分業制。革靴の最高峰と名高いイギリスの老舗メーカー「ジョンロブ」でも、5つの職人チームで制作作業が行われるという。
 「ジョンロブで職人として働いていた頃から、すべてをひとりで手がけてみたいと思っていて。まわりからは無理だって言われたんです。『独立しても店はすぐに潰れる。お前も3年で戻ってくることになるよ』と言われて、もう絶対にやってやろう! って」
 軽やかな声でそう話すのは、成城のビスポークシューズ工房「ベンチ・メイド」の大川由紀子さん。24歳まで日本で靴のデザインや企画をしていたが、イギリスの靴づくり専門のカレッジに合格したことをきっかけに渡英。卒業後、アルバイトを経て、ジョンロブに就職した。日本人の就職は、大川さんがはじめてだった。
 「私はミシンで革を縫うクロージングのパートを主にやっていました。革によって伸び具合や方向が違うので、パズルのように素材を選びます。後進の指導もしていました」
 およそ8年間勤めたのち、独立するため日本に帰国。「ベンチ・メイド」を立ち上げた。「前までは誰も知らなかったのに、帰国したらジョンロブがとても有名になっていたので驚きました。靴づくり教室をオープンした時も、いきなり生徒が30人集まったんです」

 ジョンロブに就職した教え子もいる。「3年でジョンロブに戻る」という先輩職人の予想は見事に外れた。
 大川さんひとりの手でつくる革靴は一足およそ30万円から。
 「長年履いているとインソールが足と同じかたちになるので、履けば履くほど心地よくなります。ハンドソーン・ウェルテッド製法では、他のパーツはいくらでも修理ができるつくりなので、トータルで考えると100年は履けます」
 ビスポークの語源は「be s p oken」、職人と履き手が話し合い、ものをつくり上げることを意味している。上質な一品を生み出すために徹底的にこだわるのはビューロも同じ。
世界に通用する品質は、ユーザーへの想いと、技術力があるからこそ。
「完成した靴をお客さんに履いてもらうときって、どきどきなんです。仮縫いをやり直すこともありますから、なにも問題なくお渡しできたときは、嬉しいですね」

  • インソールの表面はガラスで削ぐ。一般のものよりも寿命が10年ほど延びるのだとか。
    ジョンロブから受け継いだ技が、ここでも光る。

  • 昔ながらの製法を貫くのは、ジョンロブと同じクオリティを期待する人がいるから。「簡単なやり方もあるけど、突き詰めたいです」

  • ベンチ・メイド店内。「足は片方で骨が26個あって、すべてかたちが違う。既製靴だと、合う靴を探すことがものすごく難しいんです」