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上質の創造、イタリア人も
舌を巻くボディ。

レストアラー 林容市

Vol.05
レストアラー
林容市Yoichi Hayashi

1957年東京都生まれ。「ピットーレはやし」の代表。最も好きなクルマはフェラーリ330P4。「デザインはもちろん、12気筒エンジンの音も素晴らしい。憧れのモデルです」

 林容市さんは「イタリア人も驚く職人」の異名をもつ自動車レストアラー(修復人)だ。イタリアのクラシック・スポーツカーはアルミニウムボディが多いが、本場でもアルミを自在に操ることができる職人は希少だという。加工しやすい素材だが、溶接やプレスが難しいために職人の腕が試されるのだ。
「レーシングカーのアルミボディは厚さ1・2㎜の薄さまで加工します。それ以上薄くすると柔らかくなりすぎるから、なるべく伸びないように叩くのが大事。ひと通りのことができるまでまずは10年、どんな注文が来ても怖くないと思えるまでに20年はかかる世界ですね。技術だけなら僕よりも上手い人がいるけど、レストアは当時の雰囲気を見極めるセンスも必要。幸運なことに数多くの名車に触れてきたのでなんとなく雰囲気がわかります」
 職人らしい闊達な口調の林さん。もともとは航空整備士を目指しており、18歳の頃は専門学校に通っていた。
「夏休みに自動車の運転免許を取って、中古のトヨタS800を買ったんです。休み明けに友達に見せびらかそうと思って学校まで運転したら、途中で事故を起こして壊しちゃって。それを修理している時にクルマって面白いなあと。飛行機と違って自分でいじれるのがよかったんですね」

 その次は、両親に借金をしてロータス・セブンを購入。クルマに夢中になった。航空整備士の道には進まず、卒業後は輸入車販売店に勤めるように。FRP(繊維強化プラスティック)のレストア技術を学ぶなか、日本にはまだいなかったアルミ板金職人の道を上司に薦められた。それからは海外の専門書を1年がかりで取り寄せて読み込んだり、100個近いバイクのアルミタンクをひとりで製作、修理したり……。研究と実践に励み、アルミ板金を独学で身につけた。
「教えてくれる人がいなかったから、もう必死でした」
 独立したのは25歳の頃。まさに日本で唯一無二の職人となった林さんの存在は、クルマ好きのあいだで瞬く間に知られるように。客からの信頼の高さは、還暦目前のいまも現役のままだ。
 クルマの走りを支えるダンロップ・ビューロ。安定性のある上質な乗り心地は、研究を続けてこそ生まれた賜物だ。林さんが日本でレストアの新境地を切り開いたように、真似できない独自性は挑戦の積み重ねでつくられる。
 林さんに今後やりたいことを尋ねた。「とりあえず、この仕事は死ぬまで続けたいね」

  • アバルト1000ビアルベーロ

    レストアしたアバルト1000ビアルベーロ。別のクルマだがイタリアのコモ湖で開催されるコンテストでも優勝し愛好家に認められている。

  • エンジン

    ボディの修復だけでなく、エンジンやインテリアまですべてを修復する。工場ではフェラーリ12気筒のエンジンの再調整が行われていた。

  • 工具

    林さん愛用の工具たち。作業内容によりローラーと手作業を使い分ける。工房によってはすべてを手作業で行うところもあるとか。