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上質の創造、
古の美学をいまに伝える。

江戸風鈴職人 篠原正義

Vol.03
甲冑師
三浦公法Hiromichi Miura

1938年生まれ。28歳で甲冑の世界に飛び込み、41歳で甲冑師として初めて個展を開催した。現在は成増に工房を構え、2008年に板橋区の無形文化財に認定された。

口玉

 徳川家康が英国王ジェームズ一世に贈呈した甲冑(かっちゅう)の修理をはじめ、国宝「浅黄綾威鎧(あさぎあやおどしよろい)」の復元制作など、名だたる作品を手がけてきた三浦公法さん。現代では数少ない甲冑師だ。国宝や重要文化財の修理から、復元甲冑の制作まで、三浦さんのもとにはさまざまな仕事が舞い込む。アメリカやヨーロッパなど世界中に愛好家がいる日本の甲冑だが、職人は少なく、海外からの依頼も多い。先日も、海外のコレクターから依頼された8年越しの大仕事を終えたばかりだ。
「鎧と兜を10点ほど修理しました。江戸時代、甲冑づくりは作業ごとに親方がいたのですが、いまはほとんどの作業をひとりでやります。1領の甲冑を復元するのに、1年はかけますね」
 兜の鍛金や漆塗、革加工といった作業のほか、材料の手配もすべてひとりでこなす。作業の中でも特に神経を使うのが漆塗だ。漆の乾きが最もよいのは、夏の暑い時期。不純物が舞うのを防ぐため、冷房は一切付けずに部屋を閉め切って、ひたすら漆を塗る。かぶれても耐えねばならない。根気と体力が、甲冑師には欠かせない。
「甲冑には日本の美意識が詰まっています」と三浦さん。
「武将の信仰や願いが込められているんです。たとえば鎧(よろい)の威毛(おどしげ)の色にもすべて意味があります。赤絲は魔除け。子どもの童具足(わらべぐそく)には、成長を願って新芽の萌黄色があしらわれています」

口玉
ガラス吹き

 兜の前立ても同じだ。好まれたのは、前へ真っ直ぐ飛んでいく威勢のよさから「勝ち虫」と呼ばれたトンボの飾り。縁起のよい麒麟(きりん)や昇り龍など、架空の生物もモチーフになる。甲冑とは、武将の心意気の象徴でもあるのだ。
「甲冑は戦うためだけの道具ではない。そこが西洋との違いです」
 勝利への祈りが、四季や古くからの習俗に結びついていること。そこに、日本ならではの美が表れている。
 三浦さんにはいま、弟子がひとりいる。アメリカ出身のアンドリュー・マンカベリーさん。アメリカの大学で考古学を教えていたアンドリューさんだが、三浦さんの甲冑に魅せられ、弟子入り。8年間の修業を経て、既に甲冑師として独立している。
「熱心で、とても頼りになりますよ」と三浦さんは目を細めた。次の世代へと、甲冑の美学は受け継がれてゆく。
 ダンロップ・ビューロも同じ。タイヤの性能を追い求めるだけでなく、しっかりとした操縦安定性や静けさという独自の世界に、日本が考える世界に誇る美学が宿る。

  • ヤットコ

    「蟷螂之兜」。カマキリは勝敗を占う虫として好まれていた。カマキリの本体は桐、羽根は金箔を漆で貼った和紙でつくられているため、軽い。

  • 江戸風鈴の絵付け

    堅牢ながら美しい漆の輝き。兜の内側には受張(うけばり)という布を縫い付ける。頭と兜の間に隙間をつくり、衝撃を軽減する仕組み。

  • 江戸風鈴

    甲冑師の修業は兜の鉢づくりから始まる。鍛金した鉄板を接いで鉢を形成する作業は、ほんのわずかなずれも許されないため、難易度が高い。