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上質の創造、
匠の技が奏でる音。

江戸風鈴職人 篠原正義

Vol.02
江戸風鈴職人
篠原正義Masayoshi Shinohara

1956年、風鈴職人である篠原謹一(儀治)の次男として東京都墨田区に生まれる。大学卒業後、父儀治に師事。「江戸風鈴」の伝統技法を学び、90年「篠原まるよし風鈴」を創業。

口玉

 「風鈴をつくる」のは、つまるところ「音をつくる」仕事。だから、風鈴職人というのはある種の音楽家なのだ。
 ガラスを吹いてつくる「江戸風鈴」。その伝統をいまに受け継ぐ篠原まるよし風鈴の篠原正義さんを訪ねた。
 工房の奥まった一角には、大きな炉が据えられている。風鈴といえば、軒先に吊るされ爽やかな音色で涼を呼ぶ。けれどその仕事の場は、灼熱の坩堝(るつぼ)の前だ。1300度の炉の中から、溶けたガラスを共棹(ともざお)と呼ばれる管の先に巻き取り、息を吹き込んでいく。「宙吹き(ちゅうぶき)」と呼ばれる江戸風鈴独特の工程だ。
 最初に吹き出すのは「口玉」。直径3㎝ほどの口玉ができると、その上にもう一度溶けたガラスを巻き付け、再び炉の中に投じる。火中でガラスは粘度を増す。炉から取り出すと間髪を入れず息を吹き込む。共棹から息をため込んで、回転させながら本体のカタチをつくっていくのだ。型を成すまでわずか数十秒。
師である父に怒鳴られながら「身体で覚えた」ワザだ。
 風鈴本体の形が整うと共棹からこれを切り落とす。この時、落とされた開口部は粗く細かなギザギザが残っている。実はこのギザギザが重要で、音の揺らぎを生み、複雑で精妙なガラス風鈴の音色を奏でているのだ。

口玉
ガラス吹き

 灼熱の炉前でのガラス吹き、1日で150〜200のガラス玉をつくり出す。ひたすらつづく肉体技術の精髄。これぞ日本の職人仕事だ。篠原さんの江戸風鈴は、すべてをこの宙吹きでつくり出す。型を使って成型する量産品とは違い、姿も音も一つひとつ異なる仕上がりだ。
 次の工程は、絵付け。江戸風鈴の絵柄は、ガラスの内側に筆で描く。
開口部から絵筆を入れ込んで、曲面に描く作業は、これまた熟練を要する匠の技だ。篠原さんが最も大切にするのが「心を込めて」描くこと。一つひとつの風鈴をその手に取って、手筆で描く。手描きの作業が「心」を失えば、お客さまの満足など得られない、というのが篠原さんの思いなのだ。
 こうして出来上がった江戸風鈴は、今日もたくさんの日本の軒先を飾っている。
窓を開けると聞こえてくるその音色は、風鈴職人という名の音楽家がつくった、日本の夏の音曲なのだ。
 風鈴の音を点ぜし軒端かな
              高浜虚子
 プレミアムな走りを追求して生まれたタイヤ「ビューロ」。際立った静粛性能としなやかな操縦感覚は、美しい音曲のようにスムーズで軽快にドライビングを支える。

  • ヤットコ

    高温で溶かしたガラスを、型を使わずに成型するのが江戸風鈴。写真は、共棹から成型された風鈴の本体を取り外す使い込まれたヤットコ。

  • 江戸風鈴の絵付け

    江戸風鈴の絵付けは、ガラスの内側に器用に描くのが特徴。工房にはその絵付けに使うさまざまな絵筆や染料が並べられている。

  • 江戸風鈴

    陽の気をもつ赤い金魚が描かれた江戸風鈴。江戸風鈴はなによりも「気持ちを込める」ことが肝心だと言う。篠原さんのものづくりの哲学。